10年来の腰痛にて当病院に来院された70代女性のおはなしです。
以前より腰痛があり、その都度シップや名古屋市内の整体・鍼治療などで何とか乗り切ってきたとおっしゃいます。しかしここ数カ月は痛みが腰部にとどまらず、お尻から太ももにかけても痛むようになってきたそうです。そんな折に、娘さんにペインクリニックに受診したら、と勧められて当病院に来院されました。
来院され、慎重に診察をさせていただき、腰レントゲンを撮影しました。また名古屋市内の総合病院で腰MRI・3DCTを撮影してきていただきました。
レントゲンに加え、MRI・3DCTはペインクリニックでの腰痛の診断・治療に必須の検査です。それはレントゲンだけでは腰の状態を把握しきれないからです。また腰痛は腰以外(胃腸や子宮など)が原因のこともあり、慎重に診断しなくてはならないからです
その結果、背骨がズレることによって起こる『すべり症』と、年齢による変化である『変形性脊椎症』が原因で神経を圧迫する『脊柱管狭窄症』を起こしていることがわかりました。
またそこから波及して坐骨神経痛を併発していることもわかりました。
腰痛は、この方のように複数の疾患が合併して起こる場合が多くあります。ペインクリニックでは“何が原因でどこが痛いのか?”“どこの神経が障害されているから痛みがあるのか?”を考えて治療に当たります。それを確定させるためにレントゲン・MRI・3DCT撮影は大変重要になってきます。
この方には当初、手術をお勧めいたしました。しかし、両親から頂いた身体を傷つけたくはないというご希望で、腰部硬膜外ブロックをさせていただくことになりました。また同時に新しく使用できるようになった鎮痛剤も併用させていただきました。
長期間の痛みが続いてしまっている方は、それだけ治療期間も長くなってしまう傾向にあります。そのためこの方には効果を満足していただくまでに1か月ほど、治療期間に半年以上かかりました。Copyright© 増田医院. All Rights Reserved.